より生産的で大きな成果をあげるには?

ケーキミックスを生産し始めた時代に、ある企業が粉を箱に入れ、水を加えてかき混ぜてオーブンに入れるだけでケーキの出来上がる手軽な品を販売したが、人気がでなかった。生産者はその製品に「十分な努力が含まれていない事」が原因だと考え、製品から卵と牛乳をぬいて、自分たちで足す手間を増やしてみたところ、逆に”自分がつくったケーキ”と言える手間が発生することで製品は売れるようになったという。

人々に努力をさせることが、高い次元での喜びを提供し、つくりたいモチベーションを高めることになったわけだ。さらに、別の視点からエイカー氏の実験を見てみよう。

折り紙を折る「製作者」と見ているだけの「観察者」に、「みんながいくらなら購入するか」と尋ねたところ、製作者は、観察者の5倍の金額を付けたという。ここに見られるのは、製作者は観察者よりも折り紙を気に入っただけでなく「他の人も自分と同じ価値を持っていると思った」ことである。

自分たちが手間暇をかけ、思い入れを持ってつくり出した物を見ると、「ほかの人の見方は自分と違う」ことを、つい見落としがちになる。また、観察者は製作者ほどの思い入れが生まれにくい。これが、全体の指揮をとる者と、現場に携わってきた人間の意見や思い入れの相違につながる根源といえるかもしれない。観察者的立場の人間は、より製作者の視点に近づくことで、互いの立場を理解しあえるようになるものだ。

大変な苦労や辛い思いをしても、何かを成し遂げたときに得られる達成感は、仕事のやりがいに大きく影響する。どうやって自分自身の意義やモチベーションを生み出し、それをメンバーたちに伝えるか。これを満たすことでより生産的になれ、相手を認めてほんの一声をかけるだけで大きな成果を生み出せるのだ。

[脚注・参考資料]
TED 「仕事のやりがいとは何か」ダン・アリエリー Filmed Apr. 2013

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