久保内弁護士によれば、別居期間以外に、裁判所の判断を左右するのが婚費(結婚生活上の生活費)と子どもとの面会の有無だという。浮気をして家を出てしまった夫は、残された妻の生活費はどうでもよくなりがちだ。しかし、「有責配偶者からの離婚請求は認めない」という原則の例外として裁判所から認められ、妻と離婚したいのであれば、婚費はその間もしっかり妻に渡しておくべきだ。

「たしかに浮気は悪いが、別居中の女房や子どもを見捨てず、きちんと経済的な支援を続けていれば、裁判所は、離婚させても、子の養育費も誠実に支払うだろうと判断しやすい」(同)

婚費を妻に送り続ける姿勢を示すことにより、裁判所に対して「浮気はしてしまったけど、いい面もある夫」であることをアピールすることは有効なのだ。同様に、月に何回、何時間などを決めて子どもと面会しておけば、裁判所は「すでに離婚後の親子のありかたが出来上がっている」と判断しやすくなる。

逆に妻の立場からすると、「離婚を希望しないのであれば、婚費を受け取るべきかどうか、あるいは子どもと夫を会わせるべきかどうかはジレンマ」(同)。専業主婦は婚費を受け取らなければ生活が立ちゆかないし、子どもの情操面では夫に会わせたほうがいい。しかし、そうすればするほど、裁判所は離婚を認めやすくなるのだ。

(ライヴ・アート= 図版作成)