しかし、大半のマンションでは難しいのではないかと菅氏。当初の長期修繕計画が甘い、修繕積立金の額が低すぎるなどで積立金が不足する例や、管理組合の意見がまとまらないなど、大規模修繕にはさまざまなハードルが待ち受けている。そうなると専有部どころか、共用部の修繕すら難しくなる。らに、今後は修繕費等の高騰も懸念される。「震災の影響、また公共事業の増加などで、13年春以降、工事費全体で2割、足場などは3~4割は上がっています。マンションの長期修繕計画は経済動向に合わせるため、5年を目安に見直すこととされていますが、今後も価格上昇が続けば、多くのマンションで積立金不足が発生する可能性があります」(不動産コンサルティング会社・さくら事務所コンサルタント土屋輝之氏)。

多少先延ばしはできても大規模修繕自体をやめるわけにはいかない。「マンションは適正に管理されていれば50~60年は十分持つ。ところが、維持管理にお金を使わないため20年で老朽化が目立ち始めるケースもある」(前出・大木氏)のだ。

必要な修繕を適切に行うことがマンションの価値を維持する条件ではあるが、相見積もりも取らずに一社が出してきた修繕計画を鵜呑みにすると、非常階段の壁の塗装など、さほど必要でもない修繕が入り、高くつくことがある。知識のある住民やコンサルタントに精査してもらうことが意外に重要なのである。

土屋氏がコンサルタントをした例では、9500万円の見積もりが6500万円になった。コンサルタント料約100万円としても、十分おつりがくる。

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