もちろん、資格はなくても、本業で身につけたノウハウも武器になります。会社にいると気づきにくいのですが、大企業という組織で働いた経験を、中小企業やベンチャー企業の経営者は求めているものです。コンサルティングと気負わず、最初はアドバイザーのようなつもりで関わっていくのもいいでしょう。
こうしたやり方のメリットは、元手がかからず、ビジネス上のスキルアップにつながるということです。その経験や得た知識は本業にも生かせます。せっかく、本来ならリフレッシュすべき休日を犠牲にして働くわけですから、お金だけでなく、見えない資産を増やすという考え方もすべきです。
ここで注意しておきたいのは、自分の実力で副業に取り組む場合、一番大事なのは顧客をいかに獲得するかということ。言い換えれば営業力。これを鍛えれば、受注できる仕事も増えていきます。つまり営業力=稼ぐ力なのです。
その意味で、普段から仕事への積極的な姿勢が大切です。社内でのプレゼンテーションでは発表役になって説得力を鍛えたり、組織横断的なプロジェクトチームに参加することで、経営感覚を養うことができます。
とはいえ、本業と副業の両立は容易ではありません。副業の最大のリスクは本業を失うこと。副業を禁止している勤務先に露見したり、副業のせいで体調を崩し、仕事上のミスで会社に損害を与えたとなると解雇も覚悟する必要があります。まして、勤め先のクライアントを副業の顧客にするなどはもってのほかです。
二足のワラジでは、どうしても時間的制約があるので、収入は頭打ちになります。しかし、副業が軌道に乗ってくれば、サラリーマン人生に新しい展望が開けるかもしれません。当然、独立・起業の選択肢が出てくると思います。
1966年、千葉県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。大手金融会社を経て経営コンサルタントとして独立。2002年、「週末起業フォーラム」を設立。『週末起業』など著書多数。