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図2 現在40代のお金持ちの7割は塾に通っていた

超富裕層には医師を職業としている人も少なくない。ほとんどは開業医で、世襲していれば代々続く資産家の一種である。橘木教授が現役の医学部生を対象に調査したところ、「医師のほぼ半数は世襲と推定できる」ことがわかったという。

とりわけ学費が高額な私立大医学部には、親がよほど裕福でないかぎり進学するのは難しい。医師のうち私立大出身者は、その多くが先祖代々の開業医であり、超富裕層にあたる人たちなのだ。

事実、お金持ちの出身校のうち医師だけを取り出してみると、東京医科大、日大という私立2校が1位を分け合う結果になった。以下、ランキング上位には弘前大、三重大、新潟大といった地方国立大が名前を連ねる。一方、日本の医学界を代表する難関の東大、慶大、京大、大阪大の4校は、なんと1校も14位以内に食い込んでいない。

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図3 7割が自分が受けた教育のビジネスへの効果を実感

これは何を意味するのか。

「医師のなかでもとくに裕福なのは代々続く地方の開業医だといわれていますが、そのことを裏書きする結果だと言えます。極端な話、開業医を継ぐには地方の国公立大か私立大を出ればよく、医学研究の中心である東大や京大などに進学する必要はないのです」(橘木教授)

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図4 お金持ちは小学校時代からお勉強ができた

橘木教授の調査からは、義務教育時代の成績についても興味深い事実が判明した。

「小中学校の成績は『上のほう』だった、と答える人が多かった(図4)のは意外でした。私はむしろ、子供のころに勉強ができた人は、企業経営ではなく、東大や京大へ行ってリスクの少ない人生を選択するのではないかと予想していたのです。実際には、事業で成功するような人は、子供のころから何をやるにしても秀でていたのだろうと思います」(橘木教授)

船井総合研究所 経営コンサルタント 
小林昇太郎

立教大学大学院修了(経営学修士)。2009年、船井総研内に富裕層ビジネス研究会を設立。国内だけでなく東南アジア、香港、中東などからの入会も多く、そこからいくつもの新事業を立ち上げている。著書に『ビリオネアビジネスの極意』。
同志社大学 経済学部教授 
橘木俊詔

1943年生まれ。73年米国ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。仏米英独で研究職、教育職を、日銀、郵政省などの各研究所で研究職を歴任。京都大学教授を経て現職。共著に『日本のお金持ち研究』『新・日本のお金持ち研究』がある。
ルート・アンド・パートナーズ 代表取締役 
増渕達也

1992年、東京大学卒業後、電通に入社。2000年退社。02年セブンシーズ・アンド・カンパニーを設立。06年ルート・アンド・パートナーズを設立。富裕層のマーケティングを手がけ、7000人以上の富裕層に会ってきた。
(永井 浩、浮田輝雄=撮影)
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