巨大な富を築き、それを永きにわたって継続していける真のお金持ちたち。成功するための仕事との向き合い方、意思決定や思考のパターン、代々続けていくための子供の教育とは、どのようなものなのだろうか。富裕層の専門家3人が、彼らの素顔を明かす。
【富裕層の定義】ここでは、船井総研の小林昇太郎氏が独自の方法で算出した5億~10億以上の金融資産を持つと推定できる3万4879人を「超富裕層」、1億~5億未満の金融資産を持つ166万1844人を「プチ富裕層」と定義する。同志社大学教授の橘木俊詔氏は「全国高額納税者番付」をもとに2000年度、01年度と2年連続で1億円以上稼いだ約6000人を対象に調査を実施。
橘木教授が行った調査によれば、医師を除くお金持ちの出身校は慶應義塾、早稲田、中央、明治、同志社といった東西の有名大学が上位を占めた(図1)。
「お金持ちになるには、ある程度の学歴がベースとして必要だということでしょう。その一方、必ずしも日本の最高峰である東京大や京都大を出なくてもいい、ということも読み取れます」(橘木教授)
ただ、橘木教授の調査は「年収1億円以上」を対象にしており、そこにはプチ富裕層、超富裕層の双方が含まれる。また、伝統的な資産家と一代で財を築いた起業家との区別もない。これをもっと細分化してみるとどうなるか。
ルート・アンド・パートナーズ代表取締役の増渕達也氏と船井総研の小林昇太郎氏によると、プチ富裕層のなかでも医師や弁護士、税理士といった専門職、外資系金融機関の役職員などは学歴が高い。しかし、超富裕層についてはそれとは事情が異なるという。
たとえば、一代で資産を増やした超富裕層の場合、「学歴はさほど高くない」(増渕氏)のが常識だ。出身校でいえば、日本大などのごく標準的な学歴が多く、高卒者も決して珍しくはない。
他方、代々の資産家の場合は当然ながら名門志向が強く、「東大や早大、慶大、学習院大といった大学を卒業している人が多い」(小林氏)という。ただ、中高生の時点では地元での人脈づくりを重視し、東京ではなく地域の名門高校に進学するケースが一般的だ。