3500万円の物件を3000万円ローン(35年返済)で購入するケースを試算してみましょう(図)。ここでチェックしたいのは、消費税は土地代にはかからず、建物部分のみにかかるということ。
仮に建物部分が2000万円とすれば、消費税が3%増税されることで負担増となるのは60万円。さらに注目すべきは、これに対して住宅ローン控除が10年間で計いくらになるかということです。
前述した改正ポイント通りに計算すると、合計67.4万円。要するにこのケースの場合は、増税分を住宅ローン減税の拡大によって吸収できることになります。
ただ、最大控除額の合計が400万~500万円に達していません。フルに最大控除額を受けられるのは、控除期間の最終年まで控除対象限度額以上の住宅ローン年末残高があり、かつ、毎年の所得税額(および住民税の控除限度額の合計)がその年の最大控除額以上の人だけ。つまりは、おおよそ6000万円以上のローンでマイホームを購入し、所得税や住民税を支払っている富裕層がもっともメリットを享受できるのです。
なお、住宅ローン減税を活用するうえで注意することがあります。年間所得が3000万円を超える人は住宅ローン控除を受けられず、床面積が50平方メートルより小さい(パンフレットなどではなく登記簿上の床面積)住宅を新築しても減税を受けられません。住宅新築の日や購入の日から6カ月以内に入居し、年末まで続けて住んでいることも条件のひとつです。会社員は入居2年目以降、勤務先の控除申請手続きが年末調整時にできますが、入居1年目は確定申告する必要があります。