現在、提出されているカジノ法案は微妙にザルすぎて、競馬・競輪など他の公営ギャンブルとの法的整合性を欠いていますが、これは『お台場カジノ』建設にゴーを出したうえで、後から刑法(185条、186条)との整合性の確保や、他の公営ギャンブル、パチンコ業界との地ならしをし、民間の活力がフルパワーで活きる民設民営のカジノでお台場を賑やかにするのだ、という作戦なのかもしれません。その意味では、議論の叩き台としてのカジノ法案は良いのでしょう。ただ、安倍政権の恵みのような安定的な政権運営がどれだけの長きにわたって続けられるのかという問題が常に付きまといます。

魅力のある施設を『お台場カジノ』として成立せしめるためには、何よりもカジノ運営のノウハウを持つ海外の有力なオペレーターを連れてこなければなりません。このあたりも含めて「難しいことは将来考えるから、いまはとりあえずザル法でも良いのでカジノ法案を通すのだ」というアプローチなのでしょう。現段階でも具体的な選定基準や地域への悪影響に対するペナルティ対応などの問題は山積ですから仕方ありません。必然的に冒頭の猪瀬さん、石原さんの問題がどこからか蒸し返されて、再びカジノ法案1回休みという事態になってしまいかねません。

日本には民間の活力を呼び込む仕組みを作っていく必要はありますので個人的にはカジノ法案には反対の立場ではありませんが、「カジノで年間7兆円の増収だ」とか雑な算盤弾いて拙速な感じで杜撰にやるよりは、もう少し国内事業者や関連法規にきちんとした目配りをして丁寧に採算を見込んで進めていただくほうが後で駄目だったときのダメージも小さいと思うのですが、どうでしょうか。

※1:今年9月、政府の産業競争力会議国家戦略特区WGでは、「東京臨海副都心(台場エリア)における国際観光拠点の整備~エンターテイメント・リゾート戦略特区~」という共同提案が行われた。代表はフジテレビで、内容は非公表。
※2:日本生産性本部『レジャー白書』によれば、「パチンコ・パチスロ」の市場規模は2003年の29.6兆円から9年連続の減少となり、2011年には18.9兆円と約3分の2にまで縮小している。なお2012年には19.1兆円とわずかながら増加に転じた。

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