脳の部位で言えば、前頭葉の、眼の後ろ側あたりにある「眼窩前頭皮質」が、このような「実際の行動」と「できたかもしれない行動」を比較し、検討する部分だということがわかっている。「反省」は、いわば「心のタイムマシン」。過去にさかのぼって、現実の自分と仮想の自分を比較するという、高度な脳の働きなのである。

一方、「反省」には、自分自身の価値観、世界観をふり返るという側面もある。なぜ、過去にある行動をとってしまったのか。そのような行動を選択させた、自分の価値観、世界観は何か。ここに反省を加えることで、自分の脳の「オペレーティング・システム」を、さらによいものにすることができる。

例えば、仕事上の失敗があったとして、なぜそんな行動をとってしまったのか。自分のどんな考え方、感じ方が、そのような行動の背景にあったのか。この点をふり返ることで、自身の価値観、世界観の問題点を見いだし、改善することができるのだ。

過去に起こってしまったことは、もう変えることができない。だから、「実際の行動」と「できたかもしれない行動」を比較したとしても、結果が変わるわけではない。

しかし、自分の行動を生み出した価値観、世界観をふり返ることで、将来、もし似たようなことがあったとしても、同じ失敗を繰り返さなくて済む。反省するということは、いわば、鏡を見て自分の「心の化粧」をするようなもの。よりしなやかで、強靱なマインドになることができる。

謝罪は、相手のためにすること。一方、反省は、自分のためにすること。両者が相まって、本当に人生を変えることができる。

反省は、後ろ向きではない。自分のためにこそ、大いに反省すべき。反省は、成長へのきっかけともなるのである。

(写真=AFLO)
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