ただし、お金さえあれば問題がすべて解決するわけでもない。ある日突然、親の介護などに直面すると、よく調べずに割高な有料老人ホームなどに駆け込みがち。だが、自治体には介護をサポートするさまざまな仕組みがあるので、まずは市区町村にある地域包括支援センターに相談したい。ここに行けば、利用者や家族が望む介護を受けられる事業者なども紹介してくれる。たとえば、日中はデイサービスに通って食事や入浴のサービスを受け、夜だけ自宅で親の面倒を見るといったことも可能だ。デイサービスの1日7時間あたりの利用料例(東京都豊島区)は、要介護1なら764円、要介護5なら1285円。有料老人ホームなどに入居するよりも介護費用を大幅に節約できる。

地域包括支援センターのほか、社会福祉協議会、認知症の家族会などでも情報を得られるので、ひとりで悩まずに公的な機関に相談することをお勧めしたい。

最も重要なのは、いざというとき本人がどのような介護生活を望むのか、元気なうちから考え、備えておくことだ。

まずは、自分の理想の介護生活をイメージする。在宅介護を希望するのか、施設に入居するのかなど、介護の形はさまざま。これまでの暮らし方を振り返って、どのような介護を受けたいのかを家族と話し合っておこう。

希望する介護生活を明確にしたら、次は、元気なうちに施設を探してみる。在宅介護でも、デイサービスやショートステイなどを利用することもあるので見学して、利用料を調べておくと介護費用の目安もわかる。

そのうえで、前述のように介護費用を準備するといい。親の介護費用であれば親の年金や資産を利用するのが原則だ。どちらにせよ足りなくなった場合は誰がどう負担するのかなどもあらかじめ話し合っておくとよい。現在、介護・看護のために仕事を辞める人は年間14万人にものぼる。行政サービス、介護休暇などを利用して介護と仕事を両立させる方法を探りたい。

(構成=早川幸子)
関連記事
ショートステイ、デイケアの賢い利用法とは
「入居一時金ゼロ」の有料老人ホームは本当にお得か
同じ年収なのにお隣さんの介護保険料は半分!
介護と医療のミックスで医療費負担を大幅カット
突然の介護、初期費用をできるだけ抑える方法