【中司】でも見方を変えれば、その仕事から得られることってたくさんあると思うんです。俣野さんも以前、生産管理をしていて、得られたことも多いのでは?
【俣野】たくさんあります。その仕事の中でどれだけネタができたかということですよね。だってサラリーマンのど真ん中にいたわけで。そういうときに自分のパフォーマンスを上げるためにもそうだし、周りは全員サラリーマンなので、そういう人たちを観察することもできたわけじゃないですか。サラリーマンは画一的な面が強いですから、皆さんの悩みも重なる部分が多い。そういった現場レベルの悩みに毎週Q&Aという形の連載でお答えしていたら、それが『プロフェッショナルサラリーマン実践Q&A編』という書籍になったくらいです(笑)。
【中司】あなたが新人のときにやらされた仕事で、与えられた仕事というのも、実は上司から見たら理由がある、ということですね。
【俣野】誰かがやらなきゃいけない。ムダな仕事というより、誰かがやらなきゃいけない仕事で、それを会社が求めていると。自分の好き嫌いを全面に出す時点で、それはまだ学生気分が抜けていないということですよね。上司も人ですからね。気持ちよく受け取ってくれる人に、次にいい仕事回そうと思うもの。いつもふてくされて受けている人だったら、「こいつ」と思うんですよ。やはり上司も(笑)。「お前、仕事自分で選べる立場だと思ってんの?」と思われてしまう。
【中司】いろんな本に「トイレ掃除しなさい」と書いてありますよね。その真意は、自分の感情の排除だと思うんです。僕は、以前リフォーム工事店で営業をしていたとき、最初は営業成績悪かったこともあって、たまに現場に出ていました。現場でどういう仕事をしていたかというと、アパートのリフォームを請け負ったときに、全部清掃をかけて施主に返すんですけど、その際のトイレ掃除も仕事だったんです。
最初は手袋をつけて掃除していたのですが、途中から時間がもったいないので、手袋をするのをやめて素手で掃除をするようになったんです。そこで僕は、感情を排除する技を覚えました。それを経験してからは、どんな嫌な仕事でもできるようになる。またさらに誰よりも早くやるようになった。そうしたら、いろんな仕事がまわってくる。そういう、感情とある意味決別する訓練もできるのかなと思いますよね。