愛情のない批判は自然淘汰される!


商売より大事な理念「愛」の一文字が堂々と。

ゾゾタウンの成功要因は、現在約1500と取り扱いブランド数が圧倒的に多いこと、メンズ商品が豊富であること、マニアックなブランドも購入できること、詳細なサイズ表示の徹底等々、先行してきたファッション専門のECサイトとして、ライバルを寄せ付けない「使い勝手のよさ」を抜きにしては語れない。だが、前澤氏が発する人間くさいメッセージへの「共感」が広がり、評判を呼んだ点も見過ごせないポイントだ。

一方、昨年から導入したツイッターやフェイスブックといったSNSとの連動については、意識的に利用するのではなく「自然に任せる」スタンスだ。

「SNSではいろいろな評価をいただいていますが、なかには賞賛もあれば、批判もある。それは当然だと思います。ただし、愛情のない批判や意見は、案外リツイートされませんから、自然に淘汰されています。だから、評判は特に気にしません。もちろん、愛のある批判や意見はありがたいですから、謙虚に受け止め、再発防止に役立てたいと思います」

実はこうした「嘘のない」構えによって、ゾゾタウンはさらなる信頼を呼び込んでいる。


東日本大震災の復興支援Tシャツは680の出店ブランドが協賛し半月で企画化。これにより「顧客との思いの共有」がますます進んだという。

冒頭で紹介したチャリティーTシャツプロジェクト。ここには連絡を取りにくい一部の海外ブランドを除き、取引先のほぼ全社が参加した。

「震災から1週間、交渉の電話をずーっとかけっぱなしでしたが、みなさん、ほとんど2つ返事で賛同してくれました」

と前澤氏は満足げだ。

1枚2100円のうち、2000円が寄付金という利益度外視の「思い」に顧客も応えた。一人当たりの購入枚数は平均2枚。そうしたつながりをムダにしないため、3月31日には4団体に振り分けて寄付を完了したとサイト上で発表した。Tシャツを届ける際には、報告書と前澤CEO名の感謝状を同梱。その結果、前澤氏のもとには「単に2000円を寄付するよりも、ゾゾタウンのチャリティーに参加できて本当によかった」という声が届いたという。

「応援したくなる会社になることが目標」と語る前澤氏は、会社のドアに大きく「愛」という文字を入れている。気恥ずかしいほどストレートな文言だが、社員の平均年齢27.7歳のフレッシュな企業には、このストレートでまぶしいメッセージが本当によく似合っていた。