ネットで「百貨店の外商」を実現
●慶應義塾大学商学部教授 小野晃典

アパレルのECサイトは、消費者にとって、実物が見られない、試着できない、届くまでのリードタイムが長いといったリスクが大きく、以前は下着や部屋着などに留まっていた。

しかしゾゾタウンは、お洒落な外出着、という未開の分野へいち早く挑戦した。結果、先行企業が参加企業とユーザーを倍々に増やしていく、というネットワーク外部性によって競争優位を築くことができた。

商人は元来、メーカーが専門特化してつくった商品を顧客のニーズに合わせて提供する役割を担う。ゾゾタウンの場合、膨大な商品の写真を撮り、採寸し、丁寧にコメントを付けて顧客に提示し、顧客がそこに条件を指定し検索すれば、買いたい商品だけが見事に画面上に並ぶ。それはあたかも、あらゆる売り場から個々の顧客に合った商品だけを取り揃えて参上する、百貨店の外商のようだ。

本来は、フェイス・トゥ・フェイスでコミュニケーションをとれる実店舗にこそ、顧客の気持ちを汲み取って商品を提案できる強みがあるはずだ。しかし、実店舗はその強みを活かす努力を怠っていたのかもしれない。各ブランドに販売を任せっきりの百貨店はその一例だろう。

ゾゾタウンは時代の流れにも合致した。消費者がネットオークションや、本やCDなどのリスクの低い商品の購入経験を経てオンライン取引に習熟し、リスクの高いアパレルに手を出せるようになったタイミングで市場に参入したことが、成功の大きな要因と考えられる。

ゾゾタウンがさらに進化するには、友人と一緒に買い物にいき「この服、似合っているね」と言い合うようなコミュニケーションをつくることだろう。SNSの強化も一つの方法だが、実際に仲間とコミュニケーションしながら買い物をできる仕組みがつくれれば、新しい面白さが生まれるのではないだろうか。

※すべて雑誌掲載当時

(永井 浩=撮影)
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