メリハリのある計画的な予算立て

一方、年収は変わらなくても余裕のあるのが桧山さん。住宅ローンの繰り上げ返済をしたばかりで、これで60歳完済のメドがついた。ボーナス払いがゼロなので、家族旅行にお金を使っても年間150万円も貯金ができる。現在の貯金額は600万円だ。

(PIXTA=写真)

桧山家では、家計の方針と予算を夫婦で話し合って決めている。ポイントは「子どもが小さいうちにできること」「子どもが小さいからしたいこと」を明確にすることだ。教育費や通信費のかからないうちに貯金を増やす一方で、家族旅行など思い出づくりにはお金をかける。お金の使い方にメリハリがあれば、日常の節約も苦にはならない。

教育費にお金をかけすぎないのも桧山家の方針だ。子どもたちは地域のボランティアが主催するサークルに入り、神社のお祭りにも参加する。お金をかけず、家族で地元に溶け込む生活を楽しんでいる。

桧山家と杉本家の家計を比べると、住居費や教育費以外でも食費、水道光熱費など、ほとんどの項目で杉本家のほうが1回りずつ多い。共働き時代のクセが抜けず、少しずつの贅沢が積み重なった結果、毎月赤字を招いている。使途不明金があるのも、家計管理ができていない証拠だ。

杉本家に必要なのは、まず生活費を正確に把握すること。そして、生活費全般にわたって少しずつ引き締めることだ。収支表にある費用の項目は全部で13。1000円ずつ減らすだけでも、計1万3000円も節約できることになる。

ただ、杉本家では妻が仕事に復帰するのが最大の解決策だろう。老後のことを考えても、それが最も安心だ。

●杉本家はここを改善!

・妻が仕事に復帰する
・買い物、光熱費の使い方などを工夫し、家計をスリム化
・教育ローンやカードローンに頼ろうとしない

●桧山家はここが優秀!

・お金の貯め方、使い方にメリハリがある
・収支がしっかり把握できている
・定年後にローンが残らないような対策ができている

(有山典子=編集・構成 PIXTA=写真)
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