大ボラの効果はもう1つあると、デジタルハリウッド大学教授の匠英一氏は指摘する。

「大きい夢を語ると、その言葉が自分自身を引っ張ってくれることがあります。これをアファメーション(自己暗示)効果といいますが、孫さんはそれがうまくできています」

その孫さんが別人のような顔を見せる動画がある。11年4月に原子力発電の専門家2人を招いて討論した「原発問題について熱く語る」だ。

「プレゼンでは腕を広げるオープンなしぐさが多いですが、ここでは逆に腕組みする場面もあります。専門分野ではないため、身構えているのです。そして鋭い質問を飛ばす。部下との間でもそうなのでしょう。質問によって相手に高揚感を持たせたり、気づきを与えたりする。孫さんはプレゼンのみならず、対話の達人でもあるのです」(匠氏)

佐藤氏によると、アイコンタクトは1分あたり54秒と90%を占め、かなり強め。声も高くなっている。興奮と、本気度が伝わってくる映像だ。

「孫さんは裏表がなく、自分の考えを率直に表現できる人。言行一致だからそれでも信用されます。何でもズバリ言うのは、若い頃にオジンキラーと呼ばれたように、年長者の心を掴む話し方です」(匠氏)

小柄で丸顔、頭髪が乏しいという容姿もプラスに働いている。弱点のある親しみやすいルックスは相手に安心感を抱かせるからだ。孫さんが尊敬する坂本龍馬もスキを見せて相手を安心させたという。

「もし長身のイケメンが、同じ率直さで自分の意見をズケズケ言えば、たちまち反感を買うでしょう」(匠氏)

ルックスに自信がある人は、あの率直な話し方を真似しないほうがよさそうだ。

孫さんのマネをして
うまくいくポイント、大コケするポイント

○あえて隙をつくる
○ホラを吹く
○鋭い質問を心がける

×率直な言葉づかい(特に外見に自信がある人は敵をつくる危険性あり)

(小倉和徳、若杉憲司、澁谷高晴=撮影)
関連記事
孫正義式「仕事はすべてA4 1枚」の技術
カリスマ社長の「言葉・声・表情・しぐさ」を科学する
孫正義「もしも、人生最大の危機が襲ってきたら」
ソフトバンク 孫正義社長:定番の自虐ネタは「ハゲは、病気ではなく男の主張」
なぜ私は世間から嫌われ、孫正義は好かれるのか -ライブドア元代表取締役社長 堀江貴文氏