「誰が日本を、世界一ブロードバンドが安くて速い国にしたのか。誰が一番、この分野で“毛が抜ける”ほど頑張ったのか」「ソフトバンクのケータイは、薄いと覚えてほしい。私のヘアではなく、端末で薄さナンバーワンと覚えてほしい」……。
代表的な創業経営者でありながら、自虐ネタである“薄い頭髪”について、発信をしまくっている。ツイッターをはじめ、テレビの生放送、商品発表の記者会見、さらには社内会議などのリアルな席でも。
青野史寛ソフトバンク人事部長兼社長補佐は、「孫は、薄い頭髪をまったく気にしてません。洋服も無頓着で、外見より着やすさを重視してネクタイは絶対しない。頭もその一環で、かぶるとか隠すことを潔しとしないのです。そして、髪をネタにすれば必ず笑いがとれるのを知ってます」と言う。
社員にハッパをかける際に「おまえら、これができなかったら坊主だ」と迫るそうだ。しかも、「半分だけ坊主だ」などと言う。孫は、仮に坊主となっても、もともと“薄い”からそうは変わらない。が、社員にとっては、一大事なのは間違いない。
こうしたなか、本当に坊主になった人が現れた。M専務が、コミットを達成できずに、自ら頭を丸めてしまったのだ。孫はその気合を、「よし」と受け入れた風だったとか。
後継者育成の一環で、子会社の経営を任せる際に3社までなら潰しても許される「スリーチャンスシステム」を青野が提案したときのことだ。提案を聞いた孫は言った。「ダメだそれ。3社と限定するな。やる気があれば何度失敗しても問題ない」。
そんな孫が失敗をしたときに使うのは「あちゃー」。リアルでもツイッターでもそうだ。失敗を失敗と捉えない前向きさがある。