経験の積み重ねで達成感を楽しむ

日程的には、日本を出発してから帰国までに2カ月半は見ておく必要がある。ネパール側であれば、まずカトマンズに飛び、さらに飛行機で標高2800メートルのルクラに入って、5360メートルのベースキャンプ(BC)までのトレッキングがスタートする。3440メートルのナムチェで1週間~10日滞在、ここで5000メートル級の山を3回ほど登り下りして高度順応を行う。

次に3860メートルのタンボチェ、4240メートルのペリチェを訪れ、それぞれで高度順応を実施。次いで4920メートルのロブチェ、5130メートルのゴラクシェプを経てBCに到達する。1カ月ほどBCに滞在して、休息をはさみながら、高度順応のために7360メートルにあるキャンプ3(C3)までの登り下りを繰り返す。

そして、いよいよ8848メートルの山頂へ最終アタックだ。当然、天候にもよるが、私の場合は6050メートルのC1から8400メートルのC5まで12日ほどかけて登った。この高度では、滞在時間は短いほうがよく、夜中の10時前後に頂上目指してスタート。朝には山頂に立ち、その日のうちに7984メートルのC4まで下りた。

エベレスト登頂を成功させるには、常に自分に「絶対登るんだ」と夢の実現を言い聞かせることが大切だ。その気持ちを後押しするのは経験の積み重ねで、苦しいけれども頂上へ登った達成感が楽しみを深めてくれるだろう。

プロスキーヤー 
三浦雄一郎

2003年に70歳7カ月で当時のエベレスト世界最高齢登頂記録を樹立。08年に再登頂。
(構成=吉田茂人 撮影=小倉和徳)
関連記事
なぜお金持ちは体を鍛えるのか?
走る習慣をつける!続けるコツとタイミング
ヒマラヤ遠征6回極限を知る強さ
売り上げ3倍「山スカート」はなぜ、女心をつかめたか
ヨット、別荘、クルーズ旅行……「リタイア後の夢」の値段