「戦後、日本はGDPという“物差し”を使いながら経済的、物質的な豊かさを追い求め、経済大国入りを果たした。しかし、うつ病患者が100万人を上回り、毎年自殺する人が3万人を超えているのが現実だ。それでいて幸せであるはずがなく、物差しを『幸福度』に変える必要性があると考えた」と坂本教授は語る。

大阪に関する個々のデータを見ると、「生活・家族」が44位、「労働・企業」が46位、「安全・安心」が32位、「医療・健康」が33位と、4つの部門すべてで全国平均を下回る。特に完全失業率の高さが46位、正社員比率は45位、そして就職希望者の多さが44位になるなど、経済面の悪さが足を引っ張っていることがわかる。

その一方でランキングの上位に顔を揃えたのが、福井、富山、石川の北陸3県だ。どの県も4つの部門すべてでベストテンに入っており、全体のバランスがよく取れている。

この3県には「狭い県土」「寒冷な気候」といった、共通した地理的条件を見出せるが、この点に関する解釈については注意を要するようで、坂本教授は「幸福度と関係があるように思えるかもしれない。しかし、県土の狭さという点において同じ高知が46位になっている。また、寒冷な気候という点で類似している宮城、秋田、青森、北海道が35位以下であり、幸福度との関係性は強くない」という。

また、今回の調査の狙いはランキング結果に一喜一憂することではなく、各地域の強みや弱みを把握し、改善に取り組むきっかけにすることであり、「その際のポイントが労働・企業の強化だ」と坂本教授は語る。

地元に根を張りながら着実に収益を挙げ、雇用の受け皿となる企業が数多くあれば、県民所得がアップして税収も増えていく。そうなれば、下水道整備、幼児保育、医療施設、老人福祉など他の部門におけるインフラ整備も進められるからだ。

実際、トップの福井には地場産業としてメガネフレームのメーカーが集積し、世界で通用するブランドを持った企業が多い。一方の大阪からは、屋台骨を支えていたパナソニック、シャープの凋落が伝わるなど、先々への不安が高まるばかりである。