そこで給与面での官民格差の実態から検証してみたい。早稲田大学政治経済学術院の原田泰教授が前職である大和総研顧問を務めていた際、総務省の「家計調査」をベースに官と民の世帯主給与の比較を行ったところ、80年代後半は官の給与が民よりも10%弱高い水準で推移していた。それが90年代前半のバブル崩壊後から拡大し、ピーク時の02年には格差が26%にも達したことがわかった。

「景気後退で中小企業をはじめとする民間企業は正規労働者を削減し、その分を非正規労働者でカバーするなど極力労働コストを抑えてきた。しかし、官の給与は大規模事業者の正規労働者の給与に準拠して決められるため、真の民間給与とは乖離してしまった」と原田教授はいう。

官の給与のほうが高ければ、有能な人材の多くはそちらを選好する。しかし、民の仕事が生産による付加価値の創造なのに対して、官の仕事はその付加価値の分配。有能な人材が官に流れれば、生産効率が悪くなり、民の給与は下がる。その結果、さらに官に有能な人材が集まる“負のスパイラル”が発生し、多くの国民に不幸をもたらす。

大阪のネックは経済面の悪さ

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図2 都道府県別幸福度ランキング(出所:法政大学大学院 坂本光司教授/幸福度指数研究会調査「47都道府県幸福度ランキング」)

先の“ハシズム”旋風が吹き荒れる大阪の幸福度の「地盤沈下」を端的に示すデータがある。それは法政大学大学院の坂本光司教授が中心になって調査した都道府県別の幸福度ランキング(図2)で、大阪は評点が唯一、5ポイントを下回り、最下位に甘んじている。

今回の調査に当たっては、まず「生活・家族」「労働・企業」「安全・安心」「医療・健康」の4つの部門で、出生率が高ければそれだけ幸せで、逆に低ければ不幸せというように、有業率や平均寿命など合計40の社会経済統計を選定。そして“幸福度の優劣”という観点で1位から47位までランキングを行い、上位から順に10段階の評点を付けた。さらに都道府県ごとに40の指標に関する評点を合計し、それを40で除した評点の平均を求め、総合ランキングに落とし込んでいる。