お金が貯まる人とそうでない人は何が違うのか。数多くの資産家を取材してきたライターの菅原圭さんは「お金が貯まらない人ほど必要量を把握していない。だから無駄な買い物をしてしまう」という――。(第1回)
※本稿は、菅原圭『お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣』(河出書房新書)の一部を再編集したものです。
100円ショップの意外すぎる平均購入額
百均ショップ最大のマイナスは、モノを大事にしなくなってしまったことだ。とくに目立つのは、文房具の扱い。
ボールペンなど、いつも数本はデスクの上に転がっているし、はさみやホチキスなどもちょっと見つからないと、「探すより買ってきたほうが早い」と、すぐに百均ショップに走ってしまう。
ところが帰宅して、ちょっとデスクを片づけると、それまで使っていたハサミやホチキスがちゃんと姿を現すのだ。こういうだらしのなさには、われながらイヤ気がさす。
周囲でも、百均ショップの登場以降、「モノを大事にしなくなった」という声は少なくない。「あ、いいよ。また、百均で買ってくればいいんだから」が口グセになっていないだろうか。
そのうえ、百均ショップでも、前項で述べた“買わせる”プロの手腕はちゃんと発揮されている。上手に消費意識を刺激する商品構成や導線になっているから、売り場を回っている間に、カゴの中身は“自然に”増えていく。
百均ショップの平均購入額は、月間635円ほど(2021年帝国データバンク調べ)。たいした金額ではないようだが、この10年間で、1.6倍に増加したということは見逃せない。「探すより買ってきたほうが早い」という買い方が増えている証拠ではないか。目的のものだけですむことはまれで、予定外のものを買ってしまうことが多いはずだ。

