※本稿は、菅原圭『お金持ちが肝に銘じているちょっとした習慣』(河出書房新書)の一部を再編集したものです。
お金持ちはビニール傘をこう使う
最近の日本は明らかに気候が変わってきた。熱帯地方のスコールのように、突然、すごい勢いで雨が降ってきたかと思うと、30分〜1時間ほどで晴れ上がる。
でも、約束の時間までに行かなければ大事な商談に遅刻してしまう。そこで、駅前のコンビニなどで数百円程度のビニール傘を買ってその場をしのぐ。
こういう状況では多くの人がそうするだろう。問題は、このビニール傘のその後の行方だ。ほとんどは、雨がやんでも捨てるわけにもいかないと、なんとなく家に持ち帰る。そして、また出先で雨に打たれればビニール傘を買う。持ち帰る……。この繰り返しで、気がつくと、傘立てにビニール傘が何本も突っ立っている、なんてことになる。
折りたたみ傘を持って出るようにすれば、こんなムダは防げるのだ。
ある著者と、カフェで打ち合わせをする予定があった日のことだ。突然、スコールのような雨が降ってきた。
約束の時間が近づいたころ、激しい雨の中を、著者は、時間どおりにきちんとやってきた。手にはビニール傘を持っている。突然降りだしたので、タクシーが拾えなかったのだそうだ。
打ち合わせは1時間ちょっとで終わったが、そのころには、雨はすっかり上がっていた。彼は傘を手に立ち上がると、カフェの店主に向かって、「これ、お客さんが雨に遭ったときに使えないかな」と話しかけた。
お金持ちになる理由がわかった
「あ、ありがたいです。お客さまにも喜ばれますから……」。店主も明るく彼の申し出に応じてくれた。
前から行きつけのカフェというわけではなく、互いにとって便利な場所、というので選んだ初めてのカフェだった。「お金持ちって、こんなことがさらりとできる人なんだ」私は、大事なことをひとつ教えられたような気がした。
いらないものは手元に置かない。でも、手放すなら、できるだけそれが最後まで“生きる”形で、と心がける。こういう気持ちが、しだいに豊かな人間性を育んでいき、結果、お金持ちに近づいていくことになるのではないだろうか。
それ以来、家にビニール傘が3本以上たまったら、私は余分な傘はまとめて行きつけの飲食店などに持っていくことにしている。使うアテのないものをため込んでいるのは、かえって心の貧相さをもろ出しにするだけだと思うからだ。

