【田原】研究職は実力勝負じゃないの?

【守安】大学4年のとき、大学院より企業に入って研究しようと思い、学科推薦でIHIの求人に応募しました。求人3人のところに、応募は4人。どうやって絞り込むのかと思ったら、じゃんけんでした。僕はそのじゃんけんに負けて不採用に。じゃんけんで決まる会社なら、入社後も実力以外のところでいろいろなことが決まりそうですよね。それはいやなのでガラッと進路を変えて、院を卒業した後は日本オラクルというデータベースの会社に就職しました。ソフトウエアをつくっている会社では、マイクロソフトの次に大きなところです。

【田原】日本オラクルは販社でしょう。本社ならいろいろ研究できるかもしれないけど、日本だと退屈だったのではないですか?

【守安】結局、オラクルは1年半で辞めました。僕がオラクルに入った1998年は、米国でインターネット業界がかなり盛り上がっていた時期。それを知った大学の同期の仲間から、インターネットサービスの会社を起業しないかと誘われたりもしていました。結局、起業は断念しましたが、調べれば調べるほど、この波は日本にも絶対くると確信。インターネットサービスをやるスタートアップの会社に入りたいなと思って、DeNAに転職を決めました。

【田原】守安さんが転職したときは6人しか社員がいなくて、まだ何のサービスも始めていなかったと聞きました。よくその段階で入ろうと思いましたね。

【守安】ネットオークションというビジネスをやるということは決まっていました。米国でオークションをやっていた「イーベイ」がすごく伸びていて、これは日本でもいけるだろうと。

【田原】ネット上で売るという点は、楽天がやっているショッピングモールも同じです。どうしてショッピングではなくオークションをやろうと?

【守安】じつはショッピングも成長すると思っていました。ただ、ショッピングはネットじゃなくてもできます。一方、個人対個人の売買はさまざまな制約があって、フリーマーケットに行ったり、リサイクルショップに持ち込むくらいしかありませんでした。