トランプ関税で高まる経済安全保障の重要性
トランプ大統領が始めた「相互関税」政策に国際社会は騒然としており、日本も例外ではありません。しかし、私はむしろ、日本の国力を強くするとともに、世界の中で日本のプレゼンスを高める絶好のチャンスが到来したと考えています。
日本政府からは赤澤亮正経済再生担当大臣が何度もワシントンD.C.に行き、懸命に交渉を重ねています。
そもそもWTO加盟国・地域は互いに一定率以上の関税を課さないという「譲許税率」を約束しており、アメリカが輸入する乗用車に対する譲許税率は2.5%です。しかし今回、さらに25%の関税を上乗せするとしているのは、明らかな協定違反です。そのため、本来であれば、アメリカに対して強く「協定違反だ」と抗議したり、提訴したりしてもいいはずです。
しかし、過去の様々な交渉も含めて日本政府にどこか遠慮がちな姿勢が見え隠れする本当の理由は、防衛力への懸念があるからでしょう。
石破茂総理は、今回の関税を巡る交渉と防衛の話は切り分ける旨を明言しておられますので、心配はないのかもしれませんが、トランプ大統領が「条件を呑まないなら、在日米軍を撤退・縮小させる」と言い出しかねないことへの恐れが内々に存在することは否定できないと思います。
防衛力を過度に他国に依存することは日本にとって大きなリスクとなります。そもそも「日米防衛協力のための指針」いわゆる「ガイドライン」では、「日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し、日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するため直ちに行動する」とされています。つまり、最初から米国が助けてくれる規定ではありません。さらに「米国は、日本と緊密に調整し、適切な支援を行う。米軍は、日本を防衛するため、自衛隊を支援し及び補完する」とあり、主体的に日本を守るのは自衛隊で、米国や米軍はそれを支援、補完するという位置付けです。米軍による打撃力行使についても、「米軍は、自衛隊を支援し及び補完するため、打撃力の使用を伴う作戦を実施することができる」と書いてあります。つまり、使うことができるだけで、使ってくれないかもしれないわけです。
日本の安全保障は、日米同盟を基軸としながらも、アメリカの世論や経済状況や政権の考え方によってアメリカの関与の度合いが変化することも想定する必要がある。日本は早期に自らの防衛力を強化するとともに、準同盟国を増やしていかなくてはなりません。
今回の関税問題については、アメリカ議会が関与する従来の形ならばアメリカ国内での物価高騰への懸念も含め多角的な検討がされたと思うのですが、「国際緊急経済権限法」に基づいて大統領令によって関税率が打ち出され、度々、トランプ大統領の方針が変更されていることが厄介な点です。
日本に限らず諸外国に対しても、トランプ大統領の方針に関しては毎日のように新しい情報が飛び交っています。トランプ政権が、これまでの国際貿易ルールを無下にしていることは残念です。自由で公正な貿易が互いの国を豊かにしていくことは歴史が証明しているからです。
困難な交渉だとは思いますが、赤澤大臣は、日本の国益を最大化するために力を尽くしてくださるでしょう。自民党政調会長在任中に、党の会議で、赤澤議員が豊富な知識に基づく的確な発言をしておられる場面を何度も拝見していますので、赤澤大臣の手腕には期待しています。
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