「上司が評価してくれない」「やりがいが見出せない」「気持ちが安らがない」……。2500年前の教えをもとに気鋭の僧侶が古くて新しい悩みに答える。
「仮面のつき合い」なら、いっそ独りのほうがいい
●心を許せる友達がいない。
●昔の親友からライバル視され、疎遠になってしまった。
●家族から疎んじられているようで、会話もない。
寂しくなる理由は「いい人を演じている」からです。現代人は「いい人の仮面」をつける傾向が強く、それゆえ心を許せる友達ができにくくなっていると思われます。あるいは、親友からライバル視されて疎遠になってしまうのも、「仕事の仮面」をかぶったまま相手と接しているからかもしれません。
仕事をするうえではたしかに、ある種の仮面が必要です。職場では皆、自分の「素」の感情をストレートに出すことはしないでしょう。たとえ上司に文句を言いたいとか部下を怒鳴り散らしたいと思っても、感情を抑えなくてはなりません。それは仕方のないことですが、あまりに自分の「素」を出さないでいると、逆に出したい衝動がわいてきます。
人は「してはいけない」と強く思えば思うほど、そのことが心から離れなくなり、かえってしたい衝動が高まるものです。そうして会社から家に帰るなり、抑えていた感情をぶちまけるかのように家族に当たったりして、家族から疎んじられるはめになったりします。
そうならないためには、なるべくいい人を演じようとしないことです。職場でも自分の素直な気持ちを、できるだけ相手を傷つけたり非難したりせず穏やかに伝えるようにします。
率直さは職場の倫理コードと相反すると思うかもしれませんが、それは「相反するに決まっている」という思い込みではないでしょうか。物事には多くの場合、2項対立ではなく中間の立場もありえます。そういう立場に立てば、同僚との友達的なつき合いも成立するはずです。