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証券マンから見た各地域の特徴

方言は、あまり使わないほうがいいと思います。なかには積極的に方言を使うヨソモノもいましたが、私は標準語で通しました。中途半端な方言ではかえって失礼になると思ったからです。ただしヒアリングは別です。青森では「いいえ」「ダメ」という意味で「まいね」という方言が使われます。これは注意していないと、「まあ、いいね」と聞こえるのです。取引では間違いがないよう、聞き取りの勉強はしました。

赴任した地域の中で、最もリスク許容度が高かったのは広島でした。金融商品に詳しい人が多く、最新の情報を求められる。ハイリスク・ハイリターンの商品を揃える外資系証券会社と取引する人も、ずば抜けて多かったです。

愛知や静岡などの東海地方は、広島に比べればリスク許容度は低いのですが、経済規模が大きいため、自動車産業を中心にキャッシュリッチな企業や資産家が多い印象があります。

このうち静岡は、1人当たり県民所得が全国3位と裕福で、資産の厚みがあるためか、ゆったりとした余裕を感じました。温暖な気候の影響があるのかもしれません。

静岡に比べると、なぜか愛知はコストに敏感。「お得感」の訴求が重要なようです。「手みやげ」の文化が根付いている点にも、その傾向を感じました。心遣いを目に見える形で示すことが、求められているのかもしれませんね。

野村証券 営業企画部 エリアマネージャー 
鈴井浩史

1988年、野村証券入社。東京を振り出しに、名古屋、千葉、山形、静岡、広島の支店で営業を担う。2008年青森支店長、11年より現職。
(構成=大塚常好 撮影=永井 浩)
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