※本稿は、豊島晋作『不器用だった僕がたどり着いた「伝え方」の本質』(日経BP)の一部を再編集したものです。
「相手が聞きたいこと」を話すといい
ここからは、効果的に「伝える」ための「鉄則」を紹介していきます。
まず、大前提として、「自分が話したいことを話す」というクセを、あなたも含めて誰でも持っているということを理解しておいてください。すると、どうすれば相手に伝わるのか。シンプルな答えが出てきます。
まずは、「自分が話したいこと」ではなく、「相手が聞きたいこと」を話すことです。これが、相手に物事を伝える最初のステップです。会議や打ち合わせ、プレゼン、あるいはプライベートの会話でも、まず相手の関心や求めている情報を伝えることから始めましょう。
では、相手が思わず身を乗り出して聞きたい話とはなんでしょうか? 多くの人が最も気にしているのは、「自分が他人からどう思われているか」という評判です。中でも、一番聞きたいことは、「自分が他人から褒められている」という情報です。
褒めることから始める
「○○さんは、業界ですごく評価が高いと聞きました」と直接的に伝えてくる人がいたら、多くの人は「いやいや、そんなことはないですよ」と謙遜するでしょう。しかし、当人の本音としては、そんな褒め言葉を「もっと聞きたい」と思っています。あるいは、その可能性が高いと言えます(私もそうです。もちろん絶対に謙遜しますけど……)。
だからこそ、伝え方が上手な人は、まず相手を褒めることから始めます。そうすると、相手の承認欲求が満たされて心を開いてくれる可能性が高まり、話を聞く姿勢になってもらえるからです。
Aさん「先日のプレゼン、面白かったです。すごく説得力がありましたね」(褒める)
Bさん「ありがとうございます」 ※警戒心が和らぐ
Aさん「そのプレゼンの中で気になった点があるのですが……」
Bさん「どういった点ですか?」 ※聞く姿勢になる
話を聞いてほしい相手にもし褒めるべき要素があるのなら、Aさんのようにまず最優先で褒めるべきです。また、相手のポジティブな評価を過去に見聞きしたことがあるならば、同じくそれも最優先で伝えるべきでしょう。「○○さんの資料はいつも分かりやすくて、こちらの部署でも評判です」と、最初に伝えるのです。
褒めること、評価することは、相手を最も心地よくさせる「承認」であり、相手との円滑な意思疎通の基礎をつくるからです。

