【藤川】私はAOKIのスーツで十分ですが(笑)。いまのはいつぐらいの話なんですか?

【mucco】2000年、2001年あたりはそういう感じでした。

【藤川】なんで「ケチケチ」に路線変更されたんですか。

【mucco】本にも書きましたが、9.11の同時多発テロがひとつのきっかけでした。欧米の外資系企業はこのとき一気に人員削減を行いました。私も外資系企業で派遣として働いていたので、いつ解雇されるかという不安から、2人で真剣に今後のことを話し合いました。それで、万が一クビになっても家まで手放さなくていいように、まずは自宅の住宅ローンだけは返そうと、年収の半分で暮らすという計画を立てたのです。極端な目標ではありましたが、それまで投資物件も含めて3件ものローンをダラダラと返していたので、さすがにこういう生活をしていてはいけないと……。

【藤川】なるほど、それがきっかけになって。

【mucco】そうですね。危機感からです。

【藤川】外資系企業にお勤めの方はけっこうそういうパターンがありますね。最近でいうとリーマンショックのような危機があったときに、いまの収入が泡と消えるんじゃないかという危機感を持って、家計を見直したいと相談に来られる方、多いですよ。

【mucco】外資系勤めというのは、会社に対するロイヤリティーは日本ほど求められないかわりに、組織には属しながらも守られているという感覚はほとんどないです。だから、なにか危機があるたびにびくびくして……。

【藤川】次は自分じゃないかという。

【mucco】はい。だから、なるべく稼げるうちに稼いで、早目にリタイヤしてという考えを持っている方は多いですね。新卒で外資系に入った人の多くは特にそうですし、転職してきた方も日本型の組織に簡単には戻れないことを覚悟しているので、「経済的な自由度を高くする」ことを必然的に意識するようです。結局それが自分たちの働き方、暮らし方の自由度を高めることにもなりますから。