※本稿は、大愚元勝『絶望から一歩踏み出すことば 大愚和尚の答え一問一答公式』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
気持ちが生まれ、通じ合った時点で浮気
男女の関係というのは、なかなか理屈通りにいきません。
結婚していたら、浮気や不倫は許されることではありませんが、二人の関係にすれ違いや溝があれば、ふと心が動いてしまうこともあるでしょう。
「体の関係は持っていない。でも、その人が好きです」
最近よく聞くのが、こういうお悩みです。お互い結婚しているのに同僚と気持ちが通じてしまった。あるいはSNSなどで異性と意気投合してしまった。
どこまでが「友達としてセーフ」で、どこからが浮気・不倫かと考えるとき、肉体関係のあるなしを線引きにする人がいますが、私は違うと思っています。
気持ちが生まれ、通じ合った時点でもう、浮気なんです。
たとえ肉体関係がなく、たまに会って話をするだけだったとしても、お互いの心の内には恋愛感情がある。どちらかが結婚していたら周りに隠しますよね? それは外から見えない培養器の中に、恋愛感情をそっと入れたのと同じです。
温室みたいに安全で生育に最適な環境に入れれば、恋愛感情は芽を出し、枝を伸ばし、浮気へとすくすく育つのは当たり前です。
不倫する人は生き地獄を味わうことになる
ダンマパダ(法句経)の中に、「他人の妻に近づく者は四つのことを得る」という教えがあります。功徳なきこと、安眠なきこと、非難、地獄の四つです。
一つ目の「功徳なきこと」は、文字通りの意味。浮気は人の道を外れているので、功徳、つまり良い行いを積み重ねていくことはできません。
二つ目の「安眠なきこと」は、自分の心が落ち着かなくなるということ。相手の家族のことを考えたり、周りにバレないようにコソコソしたり、嫉妬したりと、心がいつもどこか不安です。夜もおちおち寝ていられません。
三つ目の「非難」は、もちろん人に知られたら非難、批判されるということ。
最後の四つ目の「地獄」は、現代社会でもよくありますね。浮気が知られたことで社会的制裁を受け、まるで生き地獄のような状態になるかもしれません。

