社会人が抱える悩みの一つが、職場での人間関係だ。福厳寺住職の大愚元勝さんは「2600年前にも人間関係をめぐる苦悩は存在していた。お釈迦様は『好き』『嫌い』に苦しんでいる人に対して、その滑稽さに気づきなさいと説かれた」という――。
成功に向けたネットワークの構築
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「みんな仲良しな職場」という幻想

どんな職場にも嫌な人がいるものだ。

その人が上司であれ、同僚であれ、部下であれ、嫌な人と顔を合わせて仕事をしなければならないことほど、辛いことはない。

特に上司が嫌な人だった場合、そこで働き続けることはかなりしんどい。その上司がトップであれば尚更だ。実際、退職を決断する人の多くが、職場の人間関係を理由に挙げるという。

逆に、大好きな人、気の合う人、尊敬できる人ばかりの職場で働けるなら、こんな幸せなことはない。

しかし実際には、そのような職場を求めて転職する勇気も無いし、そもそも、そんな理想的な職場などめったに無い。

私は10年ほど前からYouTube上で、人生に苦悩する人々にお釈迦さまの智慧を届けたいと『大愚和尚の一問一答』と題する番組を配信しているが、そこに寄せられる相談の中には、職場の人間関係に関するものが少なくない。

人間関係の苦悩。それは今に始まったことではない。

古今東西、人々は様々な人間関係に苦しんできた。

今から2600年前も前に説かれたお釈迦さまの教えにも、その様子を窺い知ることができる。