投資をしていると「あのとき売らなければ……」と後悔することも多い。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「売り時の判断方法には5つある。投資商品によって使い分ければ、売却後にウジウジ思い悩むこともなくなる」という――。
パソコンで投資をする人
写真=iStock.com/Daniel Balakov
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ビットコインを売らなければ、今ごろ、億万長者に?

「この前、50万円で売った株が60万円に値上がりしていてね……なんだか10万円損した気分だよ」

このように、売った商品が値上がりすれば、(たとえ売却益が出ていたとしても)なんだか損した気分になることは、投資あるある、です。

「ビットコインを売っていなければ、今ごろ、僕は億万長者だよ!」

とくに最近は、金やビットコインなどの値上がりが凄まじいことからも、このように自虐気味に愚痴る人も少なくありません。ちなみに本稿執筆時点でビットコインは1枚1600万円程度と、過去最高値圏内で推移しています。

私の周りでは、ビットコインがまだ1枚数十万円程度のころに買っていた人も少なくなく、たしかに、ずっと持ち続けていれば、彼らは億万長者になっていた可能性も十分あったわけです。

もっとも彼らは、(私の知る限り)ほぼ例外なく、その買値から2倍くらいに値上がりしたところで、「これはもうバブルだ」と耐え切れずに売ってしまったわけですが。

心のクセで、納得の売却は難しい

ただ、ほとんどの人が耐え切れずに売ってしまったことは、ある意味、「当たり前」なのです。なぜなら、人は、値上がりしたとき(含み益の状態)には、どうしても保守的になってしまい、その含み利益を早々に確定したいという「心のクセ」があるからです。

これは、行動ファイナンスのプロスペクト理論でも証明されています。ですので、まだ値上がりするかもしれないと思いつつも、早々に売却(利益確定)をしてしまい、その後の値上がり益を取り損ねてしまうものなのです。

そして、多くの人は、そんな理論(心のクセ)を本能的に分かっているものです。

ですので、そんな売却後の値上がりにも、「投資なんて、そんなものだよ」と割り切って(諦めて)、一時的に後悔はしても、どこかで折り合いをつけて、やり過ごしているものなのです。

しかし、そんな折り合いがつけられない、やり過ごすことができない人がいるのも、事実です。