こうした未曽有の事態に先に悲鳴を上げたのは、米国政府でも中国政府でもなく、金融市場だった。

米国では4月上旬にかけて、株式市場のみならず、債券市場や外国為替市場などから、リスク回避の資金流出が発生し、株安・ドル安・債券安の「トリプル安」が進行した。株安は消費者の購買意欲を冷え込ませ、債券安(=利回り上昇)は資金調達コストの増大を通じて投資活動を抑制し、ドル安は輸入品価格を押し上げて一段のインフレ圧力をもたらす。