確かに、不誠実そうで、怖い顔をしている詐欺師というのは聞いたことがない。それでは、誰もひっかかってくれないからだ。
さらに、童顔の人というのも、大人っぽい「おとな顔」の人に比べると、悪意がないように受け取られやすいという。
「典型的な例をあげると、原告がとりつけた自動車のバッテリーの代金を被告が支払わなかった事件である。被告はバッテリーの取り付けを依頼して代金を踏み倒し、その行為が故意であったとして訴えられた。被告は取り付けをたのまなかったと主張して、犯意を否認した。このような事件ではもっともおとな顔の被告の92パーセントが有罪とされたが、もっとも童顔の被告では有罪とされたのは45パーセントにすぎなかった」(前掲書)
日本でも裁判員制度が始まった昨今、おとな顔の人にとってはいい面の皮の話だ。
意図的なものであるにせよ、ないにせよ、人の外見の印象や振る舞いを鵜呑みにしないのが、世の中をうまく渡り、過ちを犯さないための第一歩なのだ。