10代から圧倒的な人気を誇るInstagramだが、10代を狙う悪意ある大人の温床でもある。こうした被害を防ぐために、Metaは一定のアクセス制限がかかるティーンアカウントの導入を始めた。「オンライングルーミング」と呼ばれる行為を繰り返す大人の手口を、ITジャーナリストの鈴木朋子さんが解説する――。
教室でスマホを使用する学生
写真=iStock.com/mapo
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日本の10代はInstagramで何をしているのか

Instagramは海外だけでなく、日本でも10代から圧倒的な人気を誇る。NTTドコモのモバイル社会研究所が2025年4月に公表した調査によると、SNSを利用している中学生は92%にのぼり、Instagramの利用率はLINEに次いで2位の52%で上昇傾向にある。

なお、この調査では小学生のSNS利用の実態も浮かび上がっている。本調査におけるSNSは、LINE以外すべて13歳以上の利用が規約に定められている。つまり、規約に反してSNSを利用している子どもが多いことがわかる。

10代はInstagramで何をしているのか。実は、10代のInstagramの使い方は、大人とは少し異なる。

メインとして利用している機能は、24時間で消去される「ストーリーズ」。1日に何度も投稿することも珍しくない。自動で消えるため、映えていないシーンや日常の思いを気軽にシェアしている。

アカウントは複数持っており、メインアカウントは公的なアカウントとして多数の知り合いと繋がり、無難な投稿を行う。一方、サブアカウントは親しい人とだけ繋がり、プライバシーに踏み込んだ投稿も行っている。

メッセージ機能(DM)もあり、LINEの代わりに使っている人もいる。LINEには公式アカウントから多くのメッセージが来るため、仲が良い友人はDMのほうが速くて確実だからだ。

あっという間に多数の10代のアカウントを入手できる

生配信ができる「ライブ」も人気だ。「インスタライブ」、略して「インライ」と呼ばれるライブ機能は、友達と集まったときなどに開始し、そこにいない友人との交流に使う。ライブ配信というと配信者になりたい人がファンと交流するイメージだが、10代はグループで行うビデオ通話の感覚で行っている。

Instagramの「ライブ」配信
Instagramの「ライブ」配信(出所=Meta)

どれも学生らしく楽しい利用法だが、ここに10代を狙うユーザーが入り込む。

ストーリーズは基本的に「公開」であるため、相互フォローでなくても見られてしまう。悪い大人は10代のアカウントをひとつ見つければ、そのフォローリストから10代を辿っていく。10代はリアルな友人と繋がっていることが多いため、あっという間に多数の10代のアカウントを入手できるのだ。

そして、一人ずつにDMを送り、親しくなっていく。最初は些細な雑談を交わし、信頼を得たと感じた段階で裸の画像のやり取りやリアルに会うことを要求する。これは「オンライングルーミング」と呼ばれる行為で、悪い大人にとってはゲームのひとつかもしれないが、子どもには一生のキズとなる。

ライブ配信は、その時間にその場所にいることがわかってしまう。異なるサービスではあるが、先月人気女性ライバーがライブ配信中に刺殺された。同様のことはインスタライブでも起こる可能性がある。配信場所が自宅である場合、ストーカー被害に遭う可能性もある。

こうした被害を防ぐために、Instagramのティーンアカウントが誕生した。