台湾留学の経験が思わぬ形でつながる

エトワールに卸している商品約1万枚(年間)のうち、6割近くが海外、中でも台湾の卸業者や小売店が多く仕入れていることがわかった。実際、筆者が3月、台北市内にある取扱店舗の店員に評判を聞いてみると、「ここの商品は質がいい。よく売れるので、代理店が持ち込む分はあるだけ全部仕入れるようにしている」という。

人気の高い寺一オリジナルのマフラー。商品展開は100種類を超える
写真提供=寺一
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4代目社長の新一朗さんは、東かがわ市内の高校を卒業後、1993年から2年間、台湾に語学留学した経験がある。やりたいことが特にない。進学も就職も、家業を手伝うことすら考えられずにいた。「苦労知らず」「考えが甘い」「厳しいところで経験が必要」と、家族や先生らに勧められ、「台湾なら行ってみてもいいかな」というほどの気持ちで選んだ留学だった。なんのつてもないところから住まいを探し、さまざまなバイトを経験して「自活」を学んだ。