さらにヒット映画の1日ごとの観客動員数の推移と1日ごとのブログの書き込み数の推移をグラフで比較すると、多くの映画で波形が重なります。例外もありますが、観客動員数や売り上げ、入場者数などの実数とブログの書き込み件数は比例する傾向にあると考えられます。

ブログ以外のCGMメディア、たとえばツイッターやフェイスブックの書き込みでも考え方は同じで、書き込みを「ヒット現象の数理モデル」による分析に活用できます。私たちが研究を始めた頃はブレーク前でしたが、いまやツイッターやフェイスブックがCGMメディアとして主流になりました。しかし、誰でも自由に閲覧できるブログに対してツイッターやフェイスブックには制限が設けられていて、分析に必要な量のデータを取ることができません。これについては後述しますが、書き込み内容の定性的な分析をする際も、140字しか書けないツイッターより、思いの丈が綴られるブログのほうが適しています。

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図4:数理モデルでヒット映画を分析する

いくつかのヒット映画について、「ヒット現象の数理モデル」による購入意欲の計算を行ってブログの書き込み件数と比較した結果、図4のように数理モデルの計算値(シミュレーション)がブログ書き込み件数をよく予測することが見て取れました。

またヒット現象を説明するうえで、間接コミュニケーションが重要であることもわかってきました。大ヒット商品では間接コミュニケーションが決定的な役割を果たしていて、もともとクチコミと言われてきた直接コミュニケーションの効果はそれほど大きくない例もあります。