Amazonに一矢報いる可能性があるクイックコマース
セブン-イレブンは9日の決算報告で、2017年に開始した自社のクイックコマース「7NOW」について、2030年度までに売上高1200億円を目指すと発表した。
コンビニのクイックコマースとは、顧客がスマホのアプリやウェブサイトを通じてコンビニの商品を注文し、近隣店舗から数十分から1時間程度で注文商品を届けるサービスのことだ。コロナ禍で浸透したUberや出前館といったフードデリバリーのコンビニ版と考えればわかりやすい。
現在の日本のネット通販はAmazonの一人勝ちと言っても過言ではないだろう。小売のみならず、動画・音楽のサブスク、広告そしてクラウドサービス事業からの莫大の利益を原資とした大型の物流センターによって支えられたその圧倒的な品揃えは、日本の企業が太刀打ちできる状況には既になくなってしまっている。
そんな日本におけるネット通販の巨人Amazonに一矢報いる可能性があるのがコンビニのクイックコマースだ。
店で客を待つだけでは生き残れない
クイックコマースに力を入れるコンビニはセブンだけではない。ローソンは、2019年にUber Eatsをコンビニにおいていち早く導入して、今では親会社のKDDIや三菱商事が運営するmenuや出前館、Woltなど複数の事業者と連携してサービスを浸透させている。ファミマも同様のサービスを拡大中だ。
近年は、どんな辺鄙な地方に行っても1軒や2軒コンビニがある風景が当たり前になった。「どこにでもあるコンビニの商品を宅配するサービス」は一見需要がないようにも思える。
そんな環境でコンビニ各社がクイックコマースに力を入れるのは、「もはや店で客を待っているだけでは生き残れない」という危機感の表れだ。
実際、コンビニのクイックコマースは、日本の食卓事情の変化と「Amazonのスキマ」の両方をうまく突いている。