播磨国の美女たちを人妻でも強引に自分のものに

このような有様でしたから、領民は大いに迷惑しました。夫のない女性はいざ知らず、結婚を間近に控えている女性は結納を先送りすることもあったようです。結婚の日限まで決まっていた女性は大いに「迷惑」したのでした。既に夫のいる女性にも政岑は容赦しません。自分が気に入ったとなると「人(他人)の女房」であっても「威勢」に任せて、召し寄せたのでした。当然、その女性の父母や夫は悲嘆に暮れます。いや、悲嘆を通り越して怒りを見せる者もいたとのこと。

政岑の命令を拒めばどうなったか。即時に罪を蒙ったと『鄙雑俎』にはあります。最悪の場合、その場所にも住み辛くなり「身代破滅」し、牢獄行ということにもなりかねないゆえ、泣く泣く女性を離縁させて「妻・娘」を差し出す家もあったようです。とんでもない藩主が現れたということで姫路の町人は、薄氷を踏む想いでした。