投資で全資産をなくす危険が高まっている

資産形成は、ひと言で片付けられるほど簡単なことではありません。投資という危ない橋を渡って資金をすべて失う可能性もあります。新NISAなど長期積み立てを推奨する言説は嘘だらけですし、資本主義経済そのものが瓦解しようとしている今、投資による全資産損失の危険は、いまだかつてなく高くなっています。

今、そこまでのリスクを背負ってまで資産形成するのは、とうてい有効な生存戦略とは言えません。それに対して、お金が必要ではない暮らし方を確立していけば、そもそも資産形成など考える必要はないわけです。そんなことをせずとも豊かに暮らす道を探ったほうが、今の生活も将来の生活も幸せになるでしょう。

ギャンブルは長く続けるほどに損失が大きくなります。逆に、ビギナーズラックで大金を当てまくり、深追いせずにさっと手を引いた人は大きな儲けを手にします。このギャンブルの法則、実は投資も同じだと言ったら驚くでしょうか。

以前、2004年から2014年までの間、毎年1000ドルをアメリカのS&P500指数に投じた場合、短期投資と長期投資とでは、どちらのほうが利益・損失が大きくなるのかをシミュレーションしたことがあります。2014年は株価が暴落したことも付記しておきましょう。株価が暴落したときの損失率(損失額÷累積投資額=投資総額に占める損失額の割合)は、たしかに長期投資のほうが低くなりました。しかし損失「額」は、長期投資のほうがはるかに大きかったのです。

新NISA
写真=iStock.com/Yusuke Ide
※写真はイメージです

新NISAの謳い文句は嘘ばかりだ

この事実を知って、真っ先に疑いの目を向けるべきなのは、2014年からのNISAと2024年にスタートした新NISAです。「長期積み立て投資で将来の資産形成を」などとうたわれていますが、今も見た通り、長期に投資を続けたほうが、たくさんのお金を失うことになる。新NISAの謳い文句は、私からすれば嘘なのです。

こういうことを言うと、決まって「それはバブルが崩壊したときに投資をやめると仮定しているからだ」と反論してくる人がいます。たしかにその通り。バブルが崩壊しても投資をやめなければ、ふたたびバブルが生じたときに株価が上がり、利益も上昇します。

ここで重要なポイントが示されていることに気づいたでしょうか。長期投資で利益が大きくなるのは、いったん何かのバブルが崩壊しても、「またバブルが発生すれば」という条件つきなのです。もしバブルが崩壊し、その後二度とバブルが発生しなければ、株価は暴落したまま地をい、ついには極限まで落ち込んでしまいます。その場合は、投資を続ければ続けるほど多くのお金を失うことになるわけです。

バブルの発生と崩壊は資本主義の性質ですから、二度とバブルが発生しないというのは、資本主義の終わりを意味します。そして私は、そう遠からぬタイミングに「その日」──最後のバブル崩壊と資本主義が終焉を迎える日が訪れると見ています。これが、「長期投資をしてもお金は増えない」と私が主張している根拠であり、今すぐ投資をやめることをすすめたい理由なのです。