天下人が愛した味噌に起こった「騒動」

数多い味噌のなかで、今回ご紹介するのは「徳川家康が愛した」といわれる「八丁味噌」だ。八丁味噌は豆味噌の一種。豆味噌はほかの味噌と違い、米麹、麦麹を使わず豆麹を使うのが最大の特徴である。大豆と食塩、水だけで長期間発酵・熟成しており、おもに愛知県で作られている。というか元々は、「八丁味噌」と名乗れるのは、岡崎城から「八丁(約870m)」離れた場所で作られる味噌蔵の味噌だけだったそうだ。

現在も残る、まるや八丁味噌(通称まるや)と、八丁味噌(通称カクキュー)の2軒の味噌を指した名称だったのだ。この2軒の味噌づくりには400年以上続く、「2年以上天然醸造」「低水分木桶仕込み」などの厳然たるルールがある。