体が痛くなるのはストレスのせい?
読者のなかには、「ストレス」を感じると、体のどこかが痛くなるという人も多いと思う。よく聞くのが、仕事が立て込んでくると、肩こり、腰痛に悩まされるというものだ。休日になると楽になるので、ストレスのせいに違いないと思われるのだろう。
しかし、ストレス自体は痛みを持っているものではない。刺激によって、全身の神経、感覚が敏感になっているため、痛みも感じやすくなるのだ。入学試験の会場などで、他の受験生のわずかな動作、小さな物音が気になってしまった記憶はないだろうか。
ストレスという刺激によって、感覚が研ぎ澄まされ、もともとの腰痛や肩こり、頭痛も、より痛みをくっきりと感じられるようになるのである。
ストレスのない状態は老いに直結する
もしストレスがまったくなくなったら、私たちはどうなるのだろうか。
ストレスがない生活は現代人には憧れかもしれないが、ストレスがない状態では、目標達成や困難を克服する経験が少なくなり、達成感や充実感を得ることが難しくなる。
これらの感覚が不足すると目標への意欲を失い、やる気をなくしてしまう可能性がある。
やがて、停滞感や退屈感が生まれる。常に快適で刺激のない状況は、成長や学びを停滞させる要因となりえる。脳への刺激が不足し、脳の活性化を阻害する可能性がある。脳は、常に新しい情報や課題にさらされることで、活性化し、成長する。ストレスがないと、脳の老化にもつながる。
ストレスは人を動かし、筋肉や骨を鍛え、心肺機能を向上させる。ストレスがない状態によって、身体機能が不活発化し、新陳代謝が減っていき、身体機能の低下につながる。
身体に変化や刺激を与えるストレスは、生きる上で必要不可欠な力なのだ。これが少なくなり弱まっていくことは、ひいては老いや弱化に直結する。