寝たきりになったとしても、在宅介護サービスを入れることもできるし、自立棟から介護棟へ住み替えもできる。普通のマンション+一生の安心というわけだ。

「日暮里コミュニティ」では、1階にある幼稚園の子供たちが入居者のいる共有スペースを散歩する、ほほえましい光景が見られる。

「賃貸住宅に住む家族と仲良くなって、子供が部屋に遊びにくるという男性もいますよ。お酒がきっかけの近所づきあいもある。ひとつ屋根の下ですから、自然と関わりができます」と広報の八木真寿美さん。共有スペースからは、保育園の子供たちが庭で遊んでいる光景が見える。娘が賃貸住宅、母親は自立棟というケースもあり、まさに多世代が暮らす。入居一時金は10年で償却するので、その後は長生きすればするほどお得となる。

もっと気軽に、賃貸という手もある。

「高根台つどいの家」は、日暮里コミュニティと同じ生活科学運営の施設。団地の1棟を建て替えて開設し、今も大きな団地の一部という感じだ。食堂には外の人間も出入りが自由で「長屋」っぽい雰囲気がある。高専賃や認知症のグループホーム、デイサービスや訪問介護ステーションなど複合型の施設で、高齢者サービスのスーパーマーケットとでもいうのだろうか。

「老人ホームというと、にっちもさっちもいかなくなってから、子供に入れられるというイメージがある。でも、自分で自分の老後を決める人たちのマーケットもあるのですよ。まさに自立型の高齢者です」と同社の浦田慶信社長は言う。

2つの施設を見学しただけでも、高齢者施設のイメージはがらりと変わる。狭い個室に寝たきりだけではない。童謡を歌わされる光景もない。普通に元気な老後とは、案外長いものなのだ。