昨年のタレント飯島愛さんの孤独死のニュースは、一人暮らしの若い世代にとっても衝撃的だった。老若男女、有名無名を問わず、独り身の一つの終わり方を改めて突きつけられた。
実際、結婚は単なる選択肢の一つという考え方も増えているし、既婚者であっても死別・離別で再び独身になりうる。こうした世相を背景に、2007年、独身女性の老後をテーマにした『おひとりさまの老後』(上野千鶴子氏著)がベストセラーになり、独身女性の互助組織が各地に生まれるなど、おひとりさまという生き方に備えている女性は多い。
当然、その陰で“男おひとりさま”も増えており、首都圏では40代前半の男性の非婚率は3割を超えるというデータもある。
ところが、指南本にせよ互助組織にせよ、“男おひとりさま”の老後にはあまり光が当てられていない。本当に男は大丈夫なのか。そこで今回はプレジデント流の男おひとりさま老後術を探ってみた。
老いるということは自分が弱者になること。
「弱音を吐ける相手」づくりを
既婚の男性でも、離婚や死別で予期せずして「おひとりさま」になる可能性があります。「再婚すれば」などと甘い考えは捨てるべきです。再婚市場はどんどん狭くなっていますから。
おひとりさまに欠かせないのは、カネよりもヒト。カネで人間関係は買えません。家族持ちでも孤独な人はいます。逆に一人暮らしでも友達が多い人は孤独ではありません。金持ちや家族持ちより“人持ち”が大事です。
では、肝心な「ヒト」はどこにいるのか。昔の仕事仲間と一緒にいても、ノスタルジーにふけるだけで、自分が惨めになる。肩書に反応して集まってきた人たちは、肩書がなくなれば去っていきます。仕事仲間は仕事とともに去りぬ、と割り切りたい。男性は、お互いを値踏みし合う序列意識が特に強く、老後のサークルや町内会でも会長だの幹事だの役職にこだわります。