「キャッシュフロー表があれば、いざ定年となっても、どれぐらい貯金を取り崩していいかわかる。60代はまだまだ若くて交際費もかかりますから」

図を拡大
早めの準備が明暗を分ける!「50歳から始めるToDoリスト」

とかく男性は「人に無様な姿を見られたくない」と、自分の病気や親の介護に直面してもSOSが出せない人が多い。しかし、お金さえあれば、遠縁などに頼らず、プロにまかせるという道がある。

老後の安心のためにやるべきことのリストは図のとおりだが、どれも面倒という人でも、お金だけは貯めておくべきだ。お金があるとないとでは、いざというときの選択肢が全然違ってくると金子氏は言う。

住まいについては、ほとんどの人がギリギリまで自宅で過ごすことを希望しているというが、金子氏は気になることを教えてくれた。

「65歳以上には自治体の見守りシステムがありますが、孤立死が危ないのは、実は40代、50代男性なのです。仕事で会社に行っていれば誰かが気がついてくれますが、失業中に心臓発作で倒れて発見されなかった例もあるんですよ」

孤立死を防ぐのは「友達」とのつながり

「近居」を選んだ7人の女性たち。月に1回、知人や近隣の人々を招き茶話会を開くなど、地域との交流も行っている。

元気なうちは自立して暮らしたい。しかし、1人きりでもし倒れたら……そんな心配を解消した女性たちがいる。

兵庫県尼崎市にあるマンションの部屋をそれぞれに買い、「近居」を選んだ7人のシングル女性たちだ。阪神大震災を機に「身近に気にかけてくれる人がいるかどうかが生死を分ける」と考えた川名紀美さん(元朝日新聞論説委員)、03年から「仲間との理想の家づくり」を目指した田矢きくさん(元サンスター広報部長)ら、60代から70代が暮らす。

「みんなNPOやフリーの仕事で大忙し。鍵は預け合っているけれど、会うのは週1、2回。でも、家路をたどるとき、仲間の部屋の電気がついているのを見ると何ともホッとする」と川名さんは言う。