キャリア支援課の柳修一課長。

「全員で一列に並んで、声を出す練習をしました。言葉遣いやお辞儀の角度、手の位置、面接時にドアを開けてイスに座るまでの振る舞いまで指導されました。授業はもちろんスーツ着用。靴もちゃんと磨かれているかチェックされました」

キャリアゼミは1クラス約15人。少人数で模擬面接を繰り返していけば、就職への意識は、自ずと高まる。キャリア支援課の柳修一課長は言う。

「キャリア支援課の事務室まで、なかなか自分でこられない学生がいます。ゼミにすることで、こうした学生も指導できます。また就職で苦労するタイプの学生は、しんどいことを先送りする傾向があります。ゼミで仲間づくりができていれば、意欲が続きやすい。1人だけで就活をすると、途中で心が折れてしまい、中途半端な結果に終わりがちです」

法学部教授の岩村等副学長。

必修の専門ゼミにキャリア支援課の職員が張り付くことで、大学側は全員の就活状況を把握している。状況が見えない学生には、本人だけでなく親に電話して指導もする。大学は、学問を修めるところで、就職の面倒を見るところではないと言われてきた。しかし今や大学進学率は5割を超え、「全入時代」を迎えた。大学の役割も変わりつつある。大阪経済法科大学の岩村等副学長は言う。

「学生にはメンターが必要です。かつては体育会のクラブが後輩を指導し、就職の面倒を見ていた。就職先にも困らなかった。今は違います。学生たちはおとなしくなり、タテの人間関係が苦手になった。それを補うのがキャリアゼミです。ドロップアウトをなくすには、よりきめ細かい指導が必要になっています」

大阪経済法科大学(大阪府八尾市)
法学部の偏差値は45、経済学部は44。現在の花岡キャンパスは最寄り駅からバスで12分の場所だが、2012年春には近鉄八尾駅から徒歩5分の場所に新校舎を開く。無線LAN完備で土日も開館。
(小原孝博(玉川)、川隅知明(大阪)、プレジデント編集部(金沢)=撮影)
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