国内大会を3連覇中 
「研究漬け」での自信

「○○君は田中貴金属工業、□□君はTBKでブレーキ、△△君は日本ケミコンでコンデンサーを作っている……」

玉川大学工学部の小原(おばら)宏之教授の口からは、卒業生の就職先が次々と飛び出してくる。工学系の研究室では、教員と学生の関係が親密なことが多いが、とりわけ小原教授は距離が近いようだ。

「企業からは『実学に強い学生をください』と言われます。私の研究室の学生は、徹夜は当たり前。正月も返上で研究に打ち込んでいます。工学部の就職率は高いのですが、自分から行動しなければよい会社は見つからない。言われたことをやるだけの学生は、私も企業もいりません」

小原教授の研究テーマは再生可能エネルギー。研究室では1997年からソーラーカーの作成を始め、世界大会で優勝するなどの実績がある。03年からは、燃料電池を組み合わせた「ハイブリッド・ソーラーカー」に取り組み、研究室で作成した「オンディーヌ号」は11年まで国内大会を3連覇中だ。

「私たちは『そんなことできないだろう』といわれるような研究にチャレンジしてきました。学生を燃えあがらせるうえでチャレンジのできる環境を与えることが、大切なのです」(小原教授)

現在は、燃料電池の発電に使う水素を、化石燃料以外から取り出す「バイオマス水素生産」の研究を進めている。すでに「バイオマス水素」を使った試験走行に成功しているという。

小原研究室の卒業生で、2010年、トヨタテクノクラフトに入社した嶋幸彦さんは、3年生のときから研究室に入り、ソーラーカー作りに参加した。主に足回りの設計を担当し、レースではドライバーも務めた。