大手企業の内定を勝ち取った学生は、眼に輝きを持っていた。人材は偏差値では評価できない。受験エリートをかすませるトップ人材を生み出す方法とは──。
4割が上場企業内定
「定員割れ」からの復活
大学に来たらいきなり散髪された……。どこかの高校の話ではない。石川県にある大学での話だ。
「身だしなみの指導は徹底しています」
就任以来、「スパルタ式」の指導で就職実績を伸ばしている金沢星稜大学の堀口英則就職支援センター長はいう。
同大では企業説明会やマナー講座などの「就職ガイダンス」に積極的で、回数は年間15回以上に及ぶ。会場に入る前に、学生は職員から「身だしなみ」のチェックを受ける。服装はスーツ。茶髪や金髪は論外。「髪が長い」とされた男子学生は、会場入りを諦めるか、その場に控える美容師から散髪を受ける。女子学生はヘアカットはないが、美容師からメークや髪型についてアドバイスを受ける。
遅刻は認めない。定刻になると扉には鍵がかけられる。一連の就職指導で、遅刻や欠席が3回に達した学生には、指導を打ち切ると通告している。
「泣きながら詫びる学生もいますが、決して容赦しません。社会はそんなに甘くないからです」
リクルートで厳しい営業現場を歩いてきた堀口氏は、学生に容赦しない。
成果は目覚ましい。堀口氏が同大に移った2003年の就職率は66%で、そのうち上場企業の内定率は0.9%だった。だが09年の就職率は81%で、上場企業の内定率は39%。就職の質は劇的に向上している。
堀口氏はその理由について、「うちは就職活動を団体戦として戦っています。そして意欲のある学生に対しては、就職に対して責任を持ちます」と話す。