織田信長は秀吉、秀長兄弟をどう評価していたのか。歴史評論家の香原斗志さんは「NHK大河ドラマでは秀長が近習に抜擢された。史料に描かれた信長の評価を見れば、その描き方は的を射ていると感じる」という――。
狩野元秀画「織田信長像」賛・跋。原本は愛知県西加茂郡挙母町長興寺所蔵
狩野元秀画「織田信長像」賛・跋。原本は愛知県西加茂郡挙母町長興寺所蔵(写真=東京大学史料編纂所/PD-Japan/Wikimedia Commons

NHK大河ドラマで描かれた興味深い場面

尾張国(愛知県西部)の中村(名古屋市中村区)で、母のなか(坂井真紀)、姉のとも(宮澤エマ)、妹のあさひ(倉沢杏菜)とともに畑仕事に勤しんでいた小一郎(仲野太賀、のちの羽柴秀長)だったが、村が野盗集団や野武士に蹂躙されるのを見て、決意を固めた。「侍になろう」という兄の藤吉郎(池松壮亮、のちの羽柴秀吉)の誘いを受け、織田信長(小栗旬)の居城がある清須(愛知県清須市)に向かった。

そこで兄弟を待っていたのが、信長と今川義元(大鶴義丹)との決戦だった。

信長のもとにもたらされたのは、義元配下の松平元康(松下洸平、のちの徳川家康)が、今川方に確保されている大高城(名古屋市緑区)に兵糧を入れ、さらには、織田方が大高城を囲むために築いた丸根砦(同)などの付城(敵城を攻撃するための臨時の前線基地)を攻めている、という情報だった。そこで信長は「出陣じゃ!」と号令をかけた。NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の第3回「決戦前夜」(1月18日放送)。

第4回「桶狭間!」(1月25日)では、わずか3000の兵で義元に挑んだ信長は周知のとおり、電撃的な勝利を収める。興味深い描写があるのは、永禄3年(1560)5月19日に争われた戦いの翌日の場面である。