テレビ離れにつながりかねない

大谷とドジャースを利用して目先の数字を取ることはビジネスとして一概に否定できない一方で、それが横並びで偏ってしまうという状態は業界としてのダメージが大きい。特に声をあげられずハラスメントのようなものを感じている人は、テレビ自体のイメージが悪化してしまうのではないか。

昨秋から現在にかけてのフィーバーは「大谷に視聴者ニーズがある」のは確かでも、「やりすぎると視聴者ファーストにならない」。そして「テレビ離れにつながってしまう」という事態に突入しているように見えてしまう。

「あまりに完璧すぎる大谷が苦手」という人も存在し、「お金をかけた補強が続き、あまりに強すぎるドジャースが苦手」という声が散見されることもポイントの1つ。

どちらも「凄いのが当たり前」という異次元の存在であり、大谷はプライベートも含めてスキのない人物像に「見ていてつらくなる」という人もいる。大谷が一般人の予測を超えるほどの活躍を毎年見せているため、「ずっと凄い」という状態と自分と比べていたたまれない気持ちになってしまう人が出ても不思議ではない。

同じようなコンテンツの乱立

ジャンルは違うが芸能人は「一流の人ほどスキをどう見せるかを考える」という。自分と一般人の距離が遠くなりすぎないように、天然、ポンコツ、実は人見知り、恐妻家などのキャラクターを交えて見てもらいやすい状態をつくっている。野球選手も人気商売の1つだけに、無理してスキは見せなくていいかもしれないが、「普通」の姿も見せることでハラスメントという声は薄れていくのではないか。

ただこれは「何でも完璧なスーパースター」という姿ばかりフィーチャーするメディアの責任が大きい。また、そんなテレビ番組もネット記事も見る人がいるから「数字が獲れる」とみなして同じようなコンテンツが乱立し、ハラスメントのようなものを感じる人が生まれていく。

もちろん「大谷ハラスメント」「ドジャースハラスメント」などと言われたとしても、本人にはわずかな非さえもないだろう。そもそも「不快」と感じたらすべてがハラスメントとしてみなされるわけではなく、とりわけ今回の件は自分の行動で回避することが可能なレベル。あまり回避しようとせず、ましてや生活や健康などを害されたわけでもなく、権利侵害などの法を犯していないのならハラスメントには該当しないように見える。

今回のシリーズ本番は2試合に過ぎず、昨秋のワールドシリーズよりも短い。その後も大谷特集は続くとしてもピークはこの1週間程度だけに、嫌悪感がある人もそれなりにやり過ごせるのではないか。

友人や同僚から大谷の話題を振られたとしても、「見ていないんですよ」「野球知らないから」などのひと言で対処すればいいはずだ。少なくとも懸命にベストを尽くそうとする大谷に負の感情をぶつけることが無意味であることは間違いない。

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