市場全体の売上高が6000億円規模だったメガネフレーム市場は、2000年代に入り苦境に立った。「消費者の購入サイクルが伸びて市場がシュリンクした」とGfKビジネスマネージャー吉田哲司氏は話す。
もう1つ売り上げを落とした要因に、ZoffやJINSといった「3プライス店」の参入がある。従来のメガネ販売は購入に至るまでに料金設定が不透明との指摘があったが、価格が3種類のみというわかりやすさが消費者に安心感を与え、急速にシェアを伸ばした。
09年の1260万本から12年には1290万本と着実に販売数を増やしているメガネのフレーム販売数に対して、市場規模は4年で200億円縮小している。これは低価格化によって、販売本数以上に客単価が下がった形だ。
そこで大手チェーンが力を入れようとしているのは、検眼に高い技術が必要な「累進(境目のない遠近両用)レンズ」だ。少子高齢化に伴い、人気も上がっており、累進レンズの12年度販売数前年比は6.5%増となった。しかし、「下手に合わないものを買うくらいなら、3プライス店で遠近それぞれ1本ずつ買う」という消費者も増え、大手チェーンはここでも思うように売り上げを伸ばせない状態だ。
近年、ディスプレーの光から目を守るPCメガネや花粉症対策メガネなど、目が悪くない人にも使える専門メガネに人気が集まっている。「販売価格の低下にともない、メガネを一生モノと考えるよりも、用途に応じて複数本を購入する人が増えていくだろう」と、吉田氏は分析する。
(ライヴ・アート=図版作成)