「ソーシャルゲーム」と呼ばれるスマホを使ったアプリゲームの普及が進んでいる。人気アプリ「パズドラ」を有するガンホー・オンライン・エンターテイメントは5月13日午前の東京株式市場でストップ高30%近く上昇。午前終値ベースで時価総額1兆5455億円をマークし、任天堂を上回った。午後には任天堂が再び巻き返したが、これはゲーム業界の変革の兆しと取れよう。矢野経済研究所は2013年度のソーシャルゲーム国内市場規模を前年度比110%の4256億円と予測。市場の拡大はまだまだ続きそうだ。
「アプリゲームの発展は、携帯電話からスマホへ消費者が移行したことが最大の要因です」と、一般社団法人コンピューターエンターテインメント協会事務局長の富山竜男氏は話す。
かつてのようにゲームハードがあって初めてソフトが遊べる、ということではなく、今やスマホも立派なプラットフォームになった。老若男女誰もが持つということは、その分ターゲットが限りなく広がったといえる。一昔前まで一部のオンラインゲームユーザーへのビジネスモデルであった「課金システム」もスマホの普及とともに拡大した。メーカーの利点として開発コストの安さがある。「主な開発コストは人件費。従来の大作と呼ばれるゲームだと数百人規模も珍しくなく、期間が2年3年ともなれば莫大です。スマホのゲームとなるとそこまでのクオリティは必要ない。大きな資本も人数もいらずコストもそうかかりません」(富山氏)。ゲーム業界は新たなビジネスモデルを獲得しつつある。
(ライヴ・アート=図版作成)